退職時に必ずやらなければならないこと

定年のこと

 2023年3月31日に60歳で37年間勤めた会社を定年退職しました。

 定年退職にあたり、いろいろしなければならなくて大変だったことを整理してみました。

 これから退職する方の参考になれば嬉しいです。

健康保険

 退職すると健康保険組合から退会しなければならず、次3つの中から選択することになります。

 ①誰かの扶養家族になる

 ②国民健康保険に入る

 ③現在の健康保険組合の任意継続制度を利用する

 ①が保健料負担がなくて一番いいのですが、「生計を一つにする」という条件が合わなかったので選択できず、②と③の保険料を比べて③にしました。

 ②の国民健康保険の場合、居住している市町村のホームページで国民健康保険料の計算方法が公開されています。わたしの場合、調べてみると加入者一人当たりにかかる均等割と世帯あたりにかかる平等割に加えて、前年度の所得に対して15%程度かかる所得割があることがわかりました。この前年度というのが曲者で相当な金額になってしまいます。

 ③の任意継続制度では、会社より金額が示されましたが、わたしの勤めていた会社の場合、社員が納めていた保険料と同額を会社も負担していたものが、任意継続制度を利用した場合は全額自己負担になるとのことで、会社員時代の保険料のほぼ倍額でした。

 それでも国民健康保険よりは低額だったので、任意継続制度を選択した次第です。それでも1年間となると結構な金額で、予想以上の出費となってしまいました。これから定年を迎える方はご注意ください。

 任意継続は2年間なのですが、2022年からは1年で辞めることも可能になったため、退職2年目の来年は国民健康保険に切り替える予定です。収入がなくなるので、所得割がなくなり、均等割+平等割も減免措置が受けられるので、保険料が圧倒的に安くなります。

 任意継続制度の保険料の支払いは、会社より申請書をもらい、直接健康保険組合に申請書を提出して、振込用紙を送付してもらい振り込みをするという手順でした。

国民年金

 国民年金も悩むことが多かったです。

 わたし自身は60歳以上なので国民年金に加入する必要はないのですが、大学生時代に保険料を支払っていなかったので未納期間がありました。また妻が60歳未満なので第1号被保険者として加入する必要がありました。

 まず自身の任意加入をどうするか、16,590円/月の年金を納めると1,620円/年、年金が増額されます。単純に考えると10年程度で元が取れそうですが、実際は受け取る年金から、税金、国民保険料が3割くらい引かれてしまいますので、65歳から年金を受給したとしても、やはり平均寿命くらいまでもらいつづけないと元は取れません。

 どうするかかなり迷いましたが、任意加入することにしました。年金制度があと5年で崩壊することはないだろうし、長生きして損したと思うより得したと思える方が精神衛生上も良いかなと。そもそも早死にすればお金は余るはずなので、元取る必要もないですから損した分は社会に貢献したと思えばいいわけです。

 さてもう一つの問題としては払い方でした。1年払いか2年払いか、振込か、QRコード払いか、口座引き落としか、金額により所得控除の恩恵は変わるか。

 2年払いすると金額は3.7%くらい割引かれます。ただ金額的に30万を超えてしまうのでQRコード決済が使えません。QRコード決済だと当時1.5%のポイント還元がありました。(本来は2年払いできるのは口座引き落としだけらしいので、できれば4月より前に市町村の国民健康保険課へ行って口座引き落としの申請をしておくのがおすすめです。ただし申請をしてしまうと他の払い方はできなくなるようです。)年金の支払額は所得から控除できるのですが、今年は収入が少なすぎて、所得控除の恩恵はないことがわかりました。

 調べて比べてしていたら頭がクラクラしてきましたが、結局わたしの場合3年の未納期間があったので、今年1年分をQRコード決済で納付し、来年4月に口座引き落としで2年分を納付することにしました。

 65歳になって年金を給付を受けるようになっても妻の分の国民年金の納付は続いていると思うので、その時がきたら所得控除の影響を考えながら、また考えようと思います。制度もしょっちゅう変わるので今考えても仕方がないです。

住民税

 住民税は前年の1月から12月分を今年の6月から来年の5月までに払う仕組みなので、3月に退職した時点では、来年の5月までの14ヶ月分の納付が残っていることになり、かなりの額ですので事前に確保しておく必要があります。

 細かくいうと今年の1月から3月までも給与はありますが、大抵の場合、基礎控除、給与所得控除、扶養控除、健康保険料控除などを合わせると課税所得はゼロとなり課税されません。

退職所得

 退職所得課税も見直すことが決定したようですので、来年どうなっているかわかりませんが、これについても女々しくもなるべく税金払わないで済む受け取り方を考えてみました。

 わたしの場合、退職金と確定給付年金と確定拠出年金が退職所得に該当しました。退職所得控除額を計算してみると、全てを一時所得で受け取ると課税されることがわかりました。

 大雑把にいうと、控除した後の金額に1/2をかけた額に所得税5%と住民税10%がかかります。およそ7.5%ですね。(所得税は累進課税です)

 そのため、控除額を超える部分は年金として5年に分けて受け取ることにしました。この場合、雑所得扱いとなりますが、5年間は収入はないので雑所得となっても公的年金等控除額の範囲内であれば課税されません。

 仮に他にも雑所得があって課税されるようであれば、1/2を掛けて計算される退職所得として税金を納付した方が少なくなる可能性が高いです。(累進課税なので具体的に計算してみないとわからないところが面倒くさい)

 年金形式で受け取る場合も、口座の管理料とか、振込手数料とか費用がかかりますが、これは確定拠出年金の取り扱い会社に聞いてみないとわかりません。

 まあ元々退職金の額が大きくはないので、一生懸命に計算しても馬鹿馬鹿しい程度の金額なのですが。

 あと面倒だったのは、請求書を出すときに必要だった「退職所得の受給に関する申告書」というやつで、会社の退職金と確定給付年金に関しては、会社側で記載してくれたのですが、確定拠出年金は自分で取り扱い会社から資料を取り寄せて記載しなければならず、書き方がよくわかりませんでした。

 会社側で記載してくれていた分の控えが残っていたので、見様見真似で書き込んで送ったのですが、それがなければまた調べるのに苦労したかもしれません。注意してください。

失業保険

 これについてもいろいろとあるのですが、ここに書ききれないので、改めて書こうと思います。

定年退職後ハローワークに行ってするべきこと①
会社を辞める時に雇用保険いついての説明もあり、失業給付の受給を希望される場合はハローワークへ相談してくださいと言われました。  会社から受け取ったハローワークの資料には「就職したいという積極的な意志といつでも就職できる能力があり、積極的に求...

最後に

 退職の1ヶ月以上前に、退職時に必要な書類の説明を受けたのですが、上記のようなことを考えていると1ヶ月くらいかかってしまいました。

 特に税制や保険について調べて、理解して、計算してみるのが、かなり大変でした。全ての国民に対応できるように制度設計するのが大変なのだとは思いますが、わかりにくいことこの上ないです。

 あと会社員の時はあまり意識していませんでしたが、税金、社会保険料はかなりの額を払っているのだと実感しました。給与明細で引き落とされている額は知ってはいるのですが、こうして計算してみると3割ぐらい税金と社会保険料を支払い、残りは消費税が10%かかるとなると、収入の4割近くを社会システムに返していることになります。

 それでこの社会なのかと思うとちょっと悲しいですよね。改めてもっと社会を良くするためにできることはないのかなと思いました。

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